MENU
ベンチャーにとってサポーティブな事務所の雰囲気というのはとても大事なところだと思います。

リスクモンスター株式会社

リスクモンスター株式会社は、与信管理支援ASP・クラウドサービスを主に、与信管理に関連するコンサルティング事業、ビジネスポータルサイト事業、デジタルデータ化サービス等の各種BPO事業、教育関連事業を含むその他サービス事業を展開する企業で、現在、東京証券取引所第二部に上場しています。

今回は、藤本太一代表取締役社長と、人事総務部部長代理に早川将和様にお話を伺いました。(インタビュアー:兼定尚幸 弁護士)

松田綜合法律事務所: 独立の経緯や思いや弊所との付き合い方について聞かせてください。

藤本社長: 2000年にリスクモンスターという会社を作りまして、松田事務所さんにお声掛けしたのは2003年初頭だと思うのですが、きっかけというのが、私が商社時代に管理課という部署にいて、会社更正などを担当していたときに、ずっと一緒にやらせてもらったのが当時の勤務弁護士だった松田先生だったということでした。
当時からめちゃめちゃ元気な人で(笑)、何か問題が発生して夜討ち朝駆けのように松田先生に電話をすると、何時でも本当に「すぐに行くよ」と言ってくれて、朝まで仕事をしてくれたものです。いろんな仕事を助けてもらいました。

リスクモンスター株式会社
代表取締役社長 藤本太一様

藤本社長: 設立して3年経ち、そろそろIPOの準備をしなければいけないし、会員規約とかを整備していかなければいけない、ということで顧問契約をお願いしましたが、最初に頼んだ大きな仕事は、上場の際にリーガルオピニオン(意見書)を書いてもらうことでした。意見書は、弊社の事業活動において、訴訟が発生するリスクがあるかどうかなどを記載するのですが、当社のような格付けをするようなビジネスモデルで上場するのは弊社が初めてでしたので、そういう意味で取引所とのやりとりで弊社のビジネスモデルがリーガル的に問題がないという意見はそれなりに大変だったのではないかなと思います。

実際は相当量の書類のやりとりをしながら、インターネットがやっとの時代に、取引所に納得してもらうのは大変だったと思いますが、やりきってもらって上場になって感謝してます。

新しいものにサポーティブな先生ですし、事務所の雰囲気もそうだと思います。ベンチャーには小回りが効いて、サポーティブな事務所の方がいいですね。「あれはこういうリスクがあります」、「これはこういうリスクがあります」とリスクを並びたてられても、新しいビジネスなんてできないわけですよ。当時、あれはだめです、これはだめですと意見に書かれただけだと、弊社が陽の目を見ることはなかったかもしれないわけですよね。そういった意味では、ベンチャーにとってサポーティブな事務所の雰囲気というのはとても大事なところだと思います。

御社は今も新しいことをされようという機運がすごくありますよね。未知のご相談というのはよく出てきますね。今までの知識、既存のものではなく、弁護士も勉強しながら一緒に作っていくという作業がでてくるのかな、という。

藤本社長: 新しいことをやろうと思ったら、弁護士事務所を一緒に巻き込んで、悩みながら力をつけてもらうというのが良いと思っています。結局新しいことへの挑戦やリスクは取れる人しかとれない。それであれば大手事務所や大手証券会社に丸投げとかでなくて、弊社と松田事務所のチームの方がイケていると思いますし、そのチームが悩みながら取れた果実というのは全然違うと思っています。

兼定弁護士: まさに今回ご依頼いただいたのもそうで、我々も勉強させていただいておりますし、そのこと自体が売りになっている。まさにおっしゃるとおりで、そういったことはとても意識しておりまして、機会をいただくということが大事だと思いっています。
依頼があるときの勉強と、そうでないときの単なる座学の勉強というのは全く違うので、依頼があればそこにミスが絶対にできませんし、徹底的にやるしかないので、そこで学ぶことは非常に大きいと思います。そういう勉強の機会をいただける会社さんと顧問としておつきあいをさせていただけるというのは本当にありがたいと思っています。

藤本社長: リスクを負っているのは会社なので、高いお金払ってすべて丸投げするのではなく、弊社のメンバーもよく勉強もしますので、チームでの成果の方がいい。

御社の法務も早川さんがいらっしゃって、専門的な部分もご対応いただいて、非常にやりやすいですが、やはり外部の法律事務所というのは特有の役割もあるのだと思います。

藤本社長: 弊社では早川が司法書士なので法律的には明るいですが、インハウスの弁護士・司法書士と外部の弁護士とはやっぱり違うと思いますし、主体的にやるのと、客観的な意見というのは異なっていて、この切り分けはとても大事ですよね、実際に。
取引先も1万1000社以上ありますので、いろいろな相談がでてきますが、いろんな意見を聞いていく中で、出てきた意見が、誰の意見かなのかという切り分けは、最終的な決断をする人間からすると、非常に大事ですね。

藤本社長(右)と人事総務部の早川様(左)

何かあった場合裁判まで見据えた上で、交渉手順や動き方を考えるには、外部の弁護士の方がいいと感じています。

藤本社長: それは絶対そのとおりだと思います。難しいのは会社サイドで、そのアドバイスの聞き方が難しい。相手がこう言っている、先生がこう言っている、というのを、経営者だから経営的に考える。アドバイスが明確で助かっているが、信頼しているだけにどのように判断するのか難しいときがある。リスクを取るのは会社であり、決断するのも経営者。このあたりのバランスが非常に難しいと思います。

兼定弁護士: 私も法律論とかリスクを踏まえてアドバイスを活かしてほしいと思っています。私どもも何のために言っているかといえば会社のためですので、言うことは言うけど、交渉の仕方は変わってくるとか、わかっていても敢えてやる、という動き方ですよね、こちらの真意をわかっていただいた上で、こう言ってきましたという具体的コミュニケーションをとって、そこは本当にうまくいくかわからないけど行きましょうということもあると思います。

御社の凄く素晴らしいところは、社長も含めて率直にディスカッションできて、「ではこの方針で行きましょう」という話が一緒に話ができるところ。これができないとなるとつらいところです。

藤本社長: 本当にそうですよね。なんかあったら全部弁護士の責任ですよね、という会社だったらどんどん保守的なことしか言えなくなってきて、アグレッシブなリーガルポジションがとれなくなりますよね。それはだめですよね。

仰るとおりです。早川さんは司法書士でいらっしゃいますが、弊所とのやりとりはいかがですか?

早川さん: 本当に色々なご相談をさせていただいています。トラブル対応もありますし、新規サービスの適法性や、最近の判例や法律の改正などの時流に応じて、契約の雛型作成や見直しの相談もしております。兼定先生(注:インタビュアー)はいつも素早く回答いただけるので、依頼する側として本当に助かっています。内容的にも的確で、社長に何か報告した場合にも兼定先生は何と言っているかと、意見を求められることも多いです。

我々も大前提として、若い弁護士も使いながらOJTをさせていただいているところもありまして、若い弁護士は案件で成長するところもあるので、時間的なところも御社に迷惑にかけないよう、私と若い弁護士で担当するなり、どれくらい急ぎかも含めて受ける側もどういう体制で行うかも含めて工夫しております。

藤本社長: 新しい業務を始めるに当たっても確認させてもらっていますし、「与信管理論」の出版では協力してもらっていますよね。

「与信管理論」は好評をいただいております。弁護士会の図書館の貸し出しランキングでも上位に入ったりしています。

与信管理論〔第2版〕(商事法務) 
リスクモンスター株式会社

藤本社長: そうみたいですね。でも今の時代にあの厚さの本は見ないですよね(笑)。

---ここで、対談の場所を社内カフェに移動。

顧問の法律事務所は必要かと聞かれたらどのようにお答えになりますか?

藤本社長: 絶対必要といいますね。
スタートアップする人でも必要な業種と必要でない業種があると思いますが、新しいことをやろうとしたら、相談する人は必要ですよね?リーガルで。特にネット向けのご商売をやるのだと、大体の法律はネットの存在に対応していないので、無理やりに解釈していく。それを、法律を知らない人が無理やりに解釈したらね、これはなかなか面白いことになりますよね(笑)。

初めに小さい範囲でやるならいいけど、今のビジネスというのはインターネットを使って一気に広げていくわけです。そうしないと後からの変更コストの方が高いし、そこから失敗したときのレピュテーョンのリスク高くて、今みたいにお金をガンガン調達していって、さあスタートしますよというときに、もう凄い大変ですよ、それは。だから、この時代だからこそ必要だと思う。

そういったときに中途半端な弁護士事務所は余計にダメで、少ししっかりしている方がいいし、じゃあ凄いでかいところに行くかというとそんな費用も払えないし一緒にチームとして進める感じにならないし、それでコンサバなことを言われてしまってもしょうがない。ちょうどいい事務所が一番いい。

藤本社長には、新しいビジネスをやるというIT企業様を弊所に紹介してもらっています。ありがとうございます。

藤本社長: 今はどうしても一気に行くでしょう。例えば、facebookを使って一気に広げるという場合は特定の100人にやりましょう、という話にはならないわけで、昔はもう少し後からリーガルコストを掛けるのでも良かったかもしれないけれども、今はやっぱり初めっからコストを掛けていかないといけないと思う。やっぱり、布陣を引いておかないと、怖くてできない。

セットアップ企業の経営者向けメッセージはございますか?

藤本社長: 大学生に話すこともありますし、ベンチャー志向の強い人はたくさんいますが、成功者の本を読んでも、ジョブスや孫さんになれるわけではなくて結構失敗している。独立して挑戦しろ、というのが本当に正しいのかと言われると難しい。

私としては挑戦して欲しいと思うが、自分らしさが大事で、みんながガレージでパソコン作って(笑)とかいう話ではないし、私自身が大企業に入って地道に勉強して、これからはこうなった方が便利じゃないか、というところからビジネスをスタートさせている。
だから、どこかに行って得意分野を伸ばすということも全然いいし、いつでもそういうチャンスはあると思うので、企業に入って社会人をスタートしてから、30歳で思い立つ人もいれば35歳の人もいれば、僕は50歳の人も60歳でもいいと思っていますが、新しいことに挑戦してもらえればいいと思っております。

会社リンク: リスクモンスター株式会社

;